「代理店のマージンって、結局何%が普通なの?」
「見積書の手数料20%が、高いのか安いのか判断できない」
このような悩みをお持ちの方もいるでしょう。
広告代理店のマージンは、「何に対する何%か」を確認して初めて比べられる費用です。率だけを見ても、実際の支払総額は分かりません。
AD HANDSが2023年1月に中小企業の経営者・役員110名へ行った調査では、代理店に不満を感じた経験がある人が75.5%でした。不満を感じた83人への複数回答では、「金額が高い」が54.2%で最も多く挙がっています。
ただし、金額が高いかどうかは率だけでなく、何に対していくら払っているかが見えて初めて評価できるものです。私自身、創業1期目は利益を正確に追えておらず、管理会計を整えて初めて、先月の利益が体感の半分だったと分かりました。だからこそ、率だけでなく費目と成果を自社で追える状態にすることが大切だと考えています。
本記事では、マージンの相場と計算方法を整理します。そのうえで、見積書を媒体純額・代理店報酬・制作/外部費用の3区分で確かめる方法を解説します。

- AI×専門チームで戦略・制作・運用を一気通貫
- ROAS270〜600%超の実績で結果にコミット
- ご要望に応じてインハウス・社内資産化までサポート
\まずは無料でお気軽にどうぞ/
広告代理店の「マージン」とは?

広告代理店のマージンとは、代理店が広告取引で得る報酬の総称です。ただし実務では、払う人も対価の中身も異なる3種類のお金が混ざっています。
広告主が代理店に払う運用手数料
Web広告で「マージン」と呼ばれるのは、多くの場合この運用手数料です。広告主が媒体費とは別に、代理店の作業への対価として支払います。
日本広告業協会(JAAA)の運用型広告取引ガイドラインでは、運用に次の工程が含まれると整理しています。
- 媒体・キーワードの選定
- 入札と広告原稿の入稿
- 配信設定の変更
- レポーティング
- 評価指標に照らした最適化
同ガイドラインは手数料を、取扱額に比例するもの・比例しないもの・付加価値への対価に分けています。そのうえで、受託の段階で広告主と取り決めるものとしています。
見積書に「運用一式」とだけ書かれている場合は、どの工程まで含むのかを確認しましょう。
媒体社が代理店に払う取扱手数料
テレビや新聞、屋外広告などでは、媒体社から代理店へ手数料が支払われる仕組みがあります。広告主が払う運用手数料とは、お金の流れが逆です。
例えば宮城県警察の令和8年度広告事業では、広告主と代理店が異なる申し込みに限り、掲出料の30%を取扱手数料としています。代理店は30%を差し引いた額を納める仕組みです。
これは広告主に30%を上乗せする料金ではありません。「屋外広告のマージンは30%」と一般化しないよう注意が必要です。
制作費・外注費に上乗せされる金額
バナーや動画、LPの制作を代理店経由で外注すると、原価に管理費やディレクション費が加わることがあります。上乗せ自体は業務の対価であり、不当とは限りません。
制作費を比べるときは、管理費・ディレクション費がどの作業を対象に、どう算定されているかを確認しましょう。外注原価の開示は代理店によって対応が異なるため、算定方法の説明を求めるのが現実的です。
広告代理店のマージン相場は公開例で20%前後

Web広告の運用手数料は、運用会社の公開例では広告費の20%前後と説明されることがあります。ただし公的な統計はなく、媒体や予算規模、契約条件で数字の意味が変わります。
Web広告の公開例は20%前後
Web広告運用会社の公開例では、手数料を「広告費の20%」前後と説明するものがあります(プライムナンバーズ)。
別の会社は、広告費連動型で15〜25%、月額固定型で月3万〜15万円と説明しています(ネットビジネスエージェント)。
ただし、これらは各社の説明であり、市場全体を調べた平均値ではありません。「相場は20%」と覚えるより、「公開例では20%前後の説明がある」程度に受け止めるのが安全です。
石田 湧大手数料の安さだけで決める前に、含まれる業務と対応範囲を確かめてください。制作本数やレポート、改善提案などをそろえて比べると、料金の違いを判断しやすくなります。
マス媒体と屋外広告には全国一律の相場がない
テレビ・ラジオ・新聞・雑誌について、現行の全国一律の代理店マージン率を示す公的資料は確認できません。媒体社側の手数料と、制作・進行の費用が組み合わさるためです。
屋外・交通広告(OOH)も、媒体社から代理店への手数料と、広告主が払う費用が別々に存在します。これらの媒体では、率ではなく費目ごとの金額で見積もりを確認しましょう。
【媒体別に確認すべき費用】
| 媒体 | 主な費用 | 確認のポイント |
|---|---|---|
| Web広告(検索・SNS・ディスプレイ) | 媒体費+運用手数料+制作費 | 料率の分母と最低手数料 |
| テレビ・ラジオ | 放送枠+CM制作費+進行費 | 媒体費と制作・進行費の切り分け |
| 新聞・雑誌 | 掲載枠+原稿制作・タイアップ費 | 純広告とタイアップ制作を分ける |
| 屋外・交通広告 | 掲出料+印刷・施工費+進行管理費 | 媒体側の手数料と広告主側の費用を分ける |
少額予算では最低手数料で実質料率が上がる
料率型の契約には、最低手数料が設定されている場合があります。予算が小さいと、表示された料率より実際の負担率が高くなります。
- 条件:料率20%、最低手数料5万円
- 媒体費100万円:100万円×20%=20万円(実質20%)
- 媒体費10万円:10万円×20%=2万円→最低手数料5万円を適用(実質50%)
月の予算が小さい場合は、料率より先に最低手数料と固定費の額を確認しましょう。


- AI×専門チームで戦略・制作・運用を一気通貫
- ROAS270〜600%超の実績で結果にコミット
- ご要望に応じてインハウス・社内資産化までサポート
\まずは無料でお気軽にどうぞ/
広告代理店のマージンはグロスとネットで総額が変わる


同じ「手数料20%」でも、何を分母にするかで支払総額は変わります。ここでは計算式の違いと、手数料を含めた費用対効果の見方を整理します。
グロスとネットの違い
ネットは媒体に実際に支払われる金額(媒体原価)で、グロスはネットに代理店マージンを含めた総額です。見積書や請求書がどちらで書かれているかで、読み方が変わります。
経済産業省のデジタル広告取引相談窓口に掲載された調査では、2023年3月にデジタル広告出稿企業の担当者に契約形態を尋ねています。運用型広告を実施する366人の回答は次のとおりです。
【代理店との契約形態の回答(2023年調査、n=366)】
| 代理店との媒体取引契約 | 回答割合 |
|---|---|
| ネット価格(媒体原価)を開示 | 34% |
| グロス価格(原価とマージンの総額) | 43% |
| 分からない | 24% |
※丸めにより合計は101%。出典:経済産業省 デジタル広告取引相談窓口掲載資料
自社の契約がどちらか把握していない担当者も、一定数いることが分かります。



測っていない支出は、削ることも増やすこともできません。まずは自社の契約がグロスかネットか、一度確認してみてください。
同じ20%で総額が120万円と125万円に分かれる
料率の計算式には、主に次の2通りがあります。どちらも「手数料20%」と表記され得るため、計算式そのものを見積書で確認することが大切です。
【媒体費100万円・手数料20%の計算例】
| 計算方法 | 式 | 支払総額 | 手数料相当額 |
|---|---|---|---|
| 媒体費に20%を上乗せ | 100万円×1.20 | 120万円 | 20万円 |
| 総額の20%を手数料とする | 100万円÷0.80 | 125万円 | 25万円 |
※税・制作費・初期費用は含みません。
この2つの算式は、KARTE Signalsの公式サポートでも手数料の計算方式として説明されています。
「内掛け」「外掛け」などの呼び方は、会社によって使い方が異なります。名称ではなく計算式で確認しましょう。
手数料込みの費用で成約単価まで割る
マージンの比較は、手数料率の高低だけで終わらせないことが大切です。最終的に見るべきは、手数料を含めた費用で成約1件にいくらかかったかです。
- 成約単価=手数料込みの総費用÷成約件数
- 代理店A:媒体費100万円+手数料20%=120万円、成約4件→30万円
- 代理店B:媒体費100万円+手数料25%=125万円、成約5件→25万円
手数料率はBの方が高いものの、成約単価はBの方が低くなります。率の高低と成約1件あたりの費用は、必ずしも一致しません。
この計算例の成約件数は仮定です。実際に比較するときは、同じ期間・同じ成約の定義で、媒体費と手数料などの費用総額をそろえて計算してください。



リード単価が半分でも、成約率が3分の1なら、成約単価は1.5倍になります。同じように、手数料率だけで総額や成果を判断しないことが大切です。
広告代理店のマージンの料金体系


代理店の報酬の決め方は、大きく3つの型に分かれます。自社の予算規模と、代理店に任せたい業務の範囲で向き不向きが変わります。
料率型
料率型は、契約で定めた対象額(媒体費や請求総額など)に一定の率を掛けて手数料を決める方式です。予算に応じて手数料が増減するため、予算変更のたびに報酬額を決め直す手間は小さくなります。
ただし、料率の見直し条件や上限・下限の有無は契約によって異なります。
一方で、広告費が増えるほど代理店の報酬も増える構造です。予算の増額を広告主側の承認制にする、一定額を超えたら料率を下げるといった取り決めで補えます。
固定月額型
固定月額型は、広告費にかかわらず毎月一定額を支払う方式です。負担が読みやすく、広告費を増やしても手数料は変わりません。
注意したいのは、固定額に含まれる作業範囲です。対象の媒体数やレポートの頻度、制作の有無を契約書で確認しましょう。
成果報酬型・組み合わせ型
成果報酬型は、問い合わせや商談、売上などの成果に応じて報酬を払う方式です。固定費と料率、固定費と成果報酬を組み合わせる形もあります。
成果報酬型では、「成果」の定義と計測方法を契約で決めておく必要があります。
【成果報酬型で契約前に決める項目】
| 決めておく項目 | 内容の例 |
|---|---|
| 成果地点 | フォーム送信・有効リード・商談・契約のどれか |
| 計測の基準 | 媒体の管理画面・GA4・CRMのどれを正とするか |
| 除外条件 | 重複・虚偽入力・キャンセルを数えるか |
| 確定時期 | 発生時か、承認後か |
広告代理店のマージンは見積書の3区分で確かめる


代理店同士を比べるときは、料率ではなく総費用をそろえることが先決です。見積書を3つの区分に分けて出し直してもらうと、比較できる状態になります。
媒体純額・代理店報酬・制作/外部費用に分けてもらう
見積もりを依頼するときは、次の3区分で金額を分けて提示してもらいましょう。3区分に分かれていれば、「手数料は安いが制作費が高い」といった違いも見えます。
【見積書を分ける3区分】
| 区分 | 含まれる費用 | 確認すること |
|---|---|---|
| 媒体純額 | 媒体に実際に支払う広告費 | 媒体の管理画面の金額と突き合わせられるか |
| 代理店報酬 | 運用手数料・固定費・初期費用・コンサル費 | 料率の分母・計算式・最低手数料 |
| 制作/外部費用 | バナー・動画・LP制作、計測ツール、外注費 | 本数・修正回数・管理費の範囲と算定方法 |



うちも費目を分けて追えたのは1期目後半で、先月の利益が体感の半分だと分かりました。分けて初めて、どこが重いかが見えます。
見積書チェック表で契約条件を確認する
3区分の金額に加えて、契約条件も確認しておくと安心です。特にアカウントの所有と制作物の権利は、解約時に問題になりやすい項目です。
文化庁の著作権契約書作成マニュアルでは、制作を依頼して報酬を払っても、著作権は原則として移らないと説明しています。譲渡を望む場合は、契約書への明記が必要です。
□ 手数料「○%」の分母と計算式が書面に書かれている
□ 最低手数料・初期費用の有無と金額が分かる
□ 媒体費と代理店報酬が分けて記載されている
□ 制作費・外注費・ツール費が運用手数料と別に分かる
□ 広告アカウントを自社で閲覧できる
□ 請求額と媒体の管理画面の金額を照合できる
□ 予算の増額に自社の承認が必要になっている
□ レポートの頻度と項目が決まっている
□ 解約時にアカウント・データ・素材を引き継げる
□ 制作物の著作権・利用範囲が契約に明記されている
広告代理店のマージンと内製化は総費用で比べる


マージンの負担が気になる場合、運用の一部を社内に戻す選択肢もあります。ただし外注手数料だけを比べると、判断を誤りやすくなります。
内製化しても費用がなくなるわけではない
内製化すると代理店のマージンはなくなりますが、採用・教育費や人件費、ツール代、制作費は社内の負担になります。担当者の退職で運用が止まるリスクも考える必要があります。
比べるべきは、代理店の手数料と、社内で同じ業務を回すための総費用です。手数料だけで「内製化の方が安い」と判断しないようにしましょう。
代理店に残す業務と社内に戻す業務を分ける
すべてを内製化するか、すべてを任せるかの二択で考える必要はありません。判断は社内に置き、作業は外部に任せるといった分担も選べます。
【業務ごとの分担の考え方】
| 業務 | 社内に戻すかの考え方 |
|---|---|
| 予算配分・KPIの判断 | 事業の数字を知る社内で持つ方が判断しやすい |
| 配信設定・入札調整 | 手順が固まれば社内に移しやすい |
| クリエイティブ制作 | 本数が多い場合は外部の力を借りる選択肢も残る |
| レポート・分析 | 見る指標を社内で決めたうえで作業を分担できる |



作業を外部に任せる場合も、予算配分やKPIの判断に必要な数字と考え方は社内に残しておきたいです。何を成果とし、どこまでの支援にいくら払うかが分かれば、手数料が見合うかも判断しやすくなります。
私は、広告予算が月300万〜500万円規模の事業会社では、内製化も選択肢になると考えています。ただし、予算規模だけで決めず、社内の運用・制作体制も踏まえて、代理店に任せる範囲を決めてください。
広告代理店のマージンは「何に対する何%か」で比べる


Web広告の運用手数料は、運用会社の公開例では広告費の20%前後と説明されています。ただし同じ20%でも、計算式によって支払総額は変わります。
比べる際は、見積書を媒体純額・代理店報酬・制作/外部費用の3区分に分けてもらいましょう。そのうえで手数料込みの費用で成約単価まで割ると、率だけでは見えない差が分かります。
あわせて、予算配分やKPIの判断は社内に置き、作業を外部に任せる分担を決めておくと、手数料が見合っているかを自社で評価できるようになります。
まずは手元の見積書で、手数料の分母と計算式が書かれているかを確認してみてください。
代理店に任せる範囲や総費用の比べ方を整理したい方は、BRANCOにご相談ください。


- AI×専門チームで戦略・制作・運用を一気通貫
- ROAS270〜600%超の実績で結果にコミット
- ご要望に応じてインハウス・社内資産化までサポート
\まずは無料でお気軽にどうぞ/
▼参考文献
デジタル広告の買い方改革に関する動向調査|経済産業省 デジタル広告取引相談窓口
中小企業経営者の広告代理店に関する調査(2023年1月)|AD HANDS(PR TIMES)
Web広告運用代行の手数料は何%が妥当ですか?|ネットビジネスエージェント
